一般財団法人 貝原守一医学振興財団

設立趣意

貝原守一を語る

桝屋 冨一

杉山 浩太郎

野村 太郎

井上 忠

 

 

 
  財団の創立者、初代理事長貝原芳子の夫、故貝原守一は、江戸時代の高名な儒学者であり本草学者であった貝原益軒の末裔分家にあたり、九州大学医学部助教授(細菌学教室)を勤め、医学への研鑚を通して人々に貢献することを信条としておりました。
 貝原益軒は八十四歳のときに完成した八巻からなる『養生訓』の名著で知られ、薬草を研究する本草学の著書としては全十六巻に及ぶ『大和本草』(1708)がありました。『養生訓』は健康養生法に関する具体的な注意がわかり易く述べられ、江戸時代の庶民に広く愛読されたといいます。一方、貝原守一が専攻した細菌学は、今日では生物科学の中で最も重要な位置を占める分科の一つとされ、生化学とも密接に結びつき、社会への影響も大きい分野と認識されています。時代を越え、ふたりに共通するものは、人々の健康・長寿へ尽力し、社会の幸福を願うものであったようです。
 我が国における医学および医療環境を展望したとき、目覚ましい医療技術の発展の反面、現行の医療制度が抱える問題は社会的な要素と絡み複雑で厳しいものがあります。また、医学研究、医療活動の現場に於ても、設備機器のハイテク高度化にともなう高額化に悩まされています。
 このような状況を鑑み、財団理事長貝原芳子は夫貝原守一の遺志を引き継ぎ、各大学における医学関連の研究ならびに人材育成、及び各種医療機関に対し必要な助成活動を実施する財団設立を計画致しました。設立の趣意は、適切な助成活動によって医学界の健全な発展と医療の向上を図り、広く人類の幸福へ寄与することを目的と致します。
 
設立の基本財産としては、不動産売却による約10億円を基金とし、その運用利益によって、医療に関する教育・研究・施設及び設備機器に対して助成を行ない、大学に在籍する医学生への給付金として活用するものとします。
 助成活動を永続的かつ広範囲に運営するに際しては、一個人では到底不可能でありましたが、幸いにも多数の方々のご賛同を得、目的達成のためにも法人化が実現し財団法人貝原守一医学振興財団として設立の運びに至りました。これによって、永遠に医学界及び社会への貢献活動が存続されることを希望する次第です。

 KAIBARA MORIKAZU MEDICAL SCIENCE PROMOTION FOUNDATION