一般財団法人 貝原守一医学振興財団

医学・医療を通じて 人類の幸福に貢献する

貝原守一を語る

桝屋 冨一

杉山 浩太郎

野村 太郎

井上 忠

 

 

 日本は、戦後半世紀ほどの間に世界にも例のない平和の維持と経済成長を遂げることができました。今日では、国民の大多数が中流を意識し、その安定した生活の中で健康への意識も向上し、次第に、医師との信頼関係に根づいた広範で良質な医療サービスが求められるようになってきています。
 また一方では、効率と拡大優先の産業社会からの脱皮を願い、自然生態と人間性を中心に据えた文化社会への移行を望む心の高揚が感じられます。そして、それは国際的にも共通する未来への思い
のようです。
  人々の健康に携わる医学医療分野においても、明治7年の「医制」発布以来その研究と技術設備の発達は目覚ましく、生活水準の向上と相まって人生80年時代という最長寿社会を実現しました。しかし同時に、高齢化社会の進行に伴う多くの問題をはじめ、医療供給体制の量的拡充から質的充実への転換、高度先進医療の普及とバイオエシックス(生命倫理)との葛藤など、医学・医療機関へ投げかけられたテーマも複合的に高度化しています。
  なかでも、近年の日本社会の老齢化は欧米諸国の倍の速さで進んでいるといわれており、出生率の低下傾向も加わって国民医療保険制度上も大きな問題となっています。更に、科学産業発達の恩恵に浴した設備機器の高度化にともなう高額化は、診療対価を直接得られない研究部門や教育関連部門での財政的な厳しさを増加させてゆくものと見られます。
  このような医学医療環境の現状を鑑み、財団理事長貝原芳子は、教育者としての自己の経験と細菌学者として志なかばで夭逝した夫貝原守一の遺志を継ぐ思いが重なり、組織的な助成活動の必要性と使命感を痛感し、財団法人貝原守一医学振興財団の設立を決意するに至りました。
  来る21世紀に向って、より健全な医学医療の発達と活性化へのお手伝いや、次世代を担う若い人材の育成に役立つ活動を実践することによって、ささやかながらも社会の幸福へ寄与できますよう祈念してやみません。皆様におかれましては、何卒今後とも末永くご指導、御協力賜りますよう、財団法人貝原守一医学振興財団設立に際しまして深くお願い申し上げます。

 KAIBARA MORIKAZU MEDICAL SCIENCE PROMOTION FOUNDATION